相続税の税務調査を税理士に任せるメリットとは

相続が開始されたら、10か月以内に相続税の申告や納付を行う必要があります。では、相続税の申告や納付をすればそれで終わりかというと、そうでない場合があります。それが税務調査です。税務調査というと嫌なイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。実は、この税務調査を税理士に任せることができます。ここでは、税理士に税務調査を任せたときのメリットについてお話しします。

税務調査には必ず立ち会う必要がある

税務調査とは、税務署の調査官が納税者の会社や事務所(相続の場合は代表相続人の自宅の場合が多い)に訪問し、税務署に提出した申告書と、会社や事務所などで保管している帳簿や書類を突き合わせたり、状況確認などを行ったりします。突き合わせや状況確認の最中に疑問点や質問がでてくれば、本人に確認しながら調査を進めます。そのため、原則として税務調査には必ず立ち会う必要があります。税務調査は通常2~3日程度の時間をかけて行われますが、日程はあらかじめ税務署から電話等で連絡があります。もちろん、仕事の都合などは考慮されます。通常の場合、任意調査と言われており、お互いに都合の良い日を調整して日程を決めていきます。

本人の代わりに税理士が立ち会いもできる

納税者本人以外に税務調査に立ち会いができるのは、税理士のみです。税理士は、本人に代わって税金の計算を行ったり、申告書の作成を行ったりしているので、その申告について正しい知識を持っています。そのため、税務調査に立ち会うことが可能です。ただし、税理士が自分の意志で税務調査に立ち会うことはできないので、あくまで納税者本人からの依頼が必要となります。税理士に税務調査の立ち会いを依頼すれば、調査官とのやり取りは税理士が行いますが、どうしても納税者本人しかわからないことについては、納税者本人が答える必要があります(税理士が本人に聞いて、後で調査官に回答することもあります)。税理士に税務調査の立ち会いを依頼した場合、本人は調査にみっちり立ち会う必要はありませんが、最低でも、最初と最後の挨拶には立ち会うのが一般的です。

税務調査を税理士に依頼するメリットとは?

ここからは、税理士に税務調査を依頼するメリットを見ていきましょう。

余計な税金が発生しない

税理士に税務調査を依頼すると、余計な税金が発生しません。調査官の質問や意見にきちんとした受け答えができるからです。実は税法には、この金額以上はダメといった明確な基準があるものと、「社会通念上相当と認められる金額」といったように、明確な基準のないものが混在しています。明確な基準があるものについては、基準に即して正しく申告することが前提となりますが、問題は明確な基準のないものです。税務署は少しでも税金が取れるような解釈をし、指摘します。納税者本人だけが立ち会っている場合は、当然税法の知識は少ないので調査官の指摘を認めてしまい、追徴課税などを支払う方向に進みがちです。それに対して、税理士は納税者と税務署間の中立な立場に立って主張すべき所は主張し、きちんとした反論を行うことができ、追徴課税などを支払う必要がなくなります。このような点から、「余分な税金が発生することが少なくなる」というわけです。

精神的負担が軽減される

税務調査が入ると聞くと、不安に思う人も少なくないでしょう。別に悪いことをしているわけではないのですが「何か出てきたらどうしよう」「妙に勘繰られたら嫌だ」など、税務調査には、何かと精神的な負担がかかるものです。特に相続税の税務調査を受ける人の中には、会社経営などをしておらず、税務署とあまり関わりのない人もたくさんおられることと思います。そのような人にとって、税務調査は余計に不安に思えるでしょう。税理士に調査の立ち会いを依頼すれば、納税者側に立って、日程の調整や調査官からの質問への返答、その後の修正申告など、税務署とのやりとりや手続きをすべて税理士が行います。納税者本人が調査官と話す必要も、税務署に行くこともないため、精神的負担の軽減になります。

調査期間の短縮が期待できる

税理士には相続税だけでなく、法人税や個人の所得税など、さまざまな税務調査への立ち会い経験があります。多くの経験をもとに、当日に調査がスムーズに進むようしっかりと事前準備をして臨みます。また、予期せぬ指摘などがあっても専門知識があるので、反論や交渉を行うことができます。税務調査がスムーズに進まないと、納税者の会社や事務所への訪問の後も、質問などのやりとりを長期間に渡って行わなければなりません。税理士なら、税務調査やその後のやりとりもスムーズに進めることができるので、結果的に調査開始から終了までの期間を短縮することができます。

相続が開始されたら、税務調査のことも考えて最初から税理士に依頼しよう

ここまで見たように、税理士に税務調査の立ち会いを依頼すれば、納税者にとって多くのメリットが得られます。しかし、税務調査の立ち会いだけを依頼しても、申告書の中身が分からなければ効果が半減します。そのため、相続が開始されたら、相続財産の評価や相続税の申告書の作成など、最初からトータルで税理士に依頼することをおすすめします。

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