相続税還付

相続税は、自分で税額を計算し申告・納付する申告納付制度を採用しています。そのため、その計算や申告が誤っていることもあります。税金を少なく申告していると、税務署から指摘されることがありますが、特例等を適用し忘れたなどの理由で税金を払いすぎた場合は、自分で税金還付の申請をする必要があります。ここでは、相続税の還付について解説します。

申告して5年以内なら、支払いすぎた相続税は還付可能

相続税は納税者が自分で計算して納付するため、相続税を支払いすぎているケースがあります。この場合は、自分で税金還付の申請を行う必要があります。この税金還付の申請を「更正の請求」といい、必要事項を記載した更正の請求書を税務署に提出します。税務署は提出された書類を基に精査し、更正が妥当であれば還付を行います。 「相続税の申告からだいぶ経ってしまっているから…」と思っても大丈夫です。更正の請求の期限は5年間です。申告して5年以内であれば、支払いすぎた相続税の還付が可能です。

まずは不動産評価を見直そう

相続税において更正の請求の原因として最も多いのが、適正な不動産評価ができていなかったケースです。土地の評価は、簡単に言うと国税庁が毎年公表している路線価とその土地の面積を掛け合わせて評価額を算定し、そこから土地の状況に応じて評価額を減額していくという計算を行って求めます。例えば、土地の入り口(間口)が極端に狭かったり、崖地であったり、セットバックをしないと建物を建て直せなかったりする土地は、他の土地より不便なため、評価額が低くなります。土地の評価は、登記簿謄本や測量図だけでは難しいです。測量図が古い場合は、土地の形や面積などが違っている場合も多くあります。実際に現地に行ってその土地の形や状況を見て、どのような減額要素を使うことができるかを考えて、土地の評価をする必要があります。

税理士によって、不動産評価が分かれることも

実は、税理士には相続に強い税理士とそうでない税理士がいます。上述したように、土地の評価は、実際に現地で土地の形や状況を見て、どのような減額要素を使うことができるかを考えます。これは、いかに不動産の評価をたくさんしてきたか、その経験値がものをいいます。もちろん、どんな税理士でも、相続税の申告について依頼が来た場合は、相続税の勉強をして申告書の作成に臨みますが、勉強だけでは通り一遍の評価になりがちです。また、決まった顧問先からの顧問料などを収入の主としている税理士の場合は、顧問先の社長などが亡くならない限りは、相続税の申告を行う機会がありません。そのため、相続税の申告の経験自体がほとんどない税理士も多くいます。経験を積んでいる相続に強い税理士と、そうでない税理士では、同じ土地でも不動産評価が分かれることも多くあります。 

相続税の還付ができる可能性が高いケースとは?

では、相続税の還付ができる可能性が高いのはどのような土地か見ていきましょう。

形が不整形な土地

土地の評価は正方形を前提に考えます。そのため、形が不整形な土地はそれだけで減額要素になります。また、間口が狭い土地や、崖地の様に高低差がある土地も通常の土地よりも評価が下がります。

使っていない土地

空き地のように所有しているが使っていない土地は、価値が下がることがあります。

広大な土地

通常よりも大きな土地は、一般的な土地より使い勝手が良くないことも多いです。そのため、土地の評価も下がる可能性があります。また、所有しているだけで使っていない場合は、さらに評価が下がる可能性があります。

周囲の環境が良くない

高架下であったり、高圧線が通っていたりする土地、騒音などがある土地などは、一般の土地よりも評価が下がります。

第三者に貸し付けをしている土地

第三者に貸し付けをしている土地は、所有者が勝手に土地を売却したり、違う用途に使用したりすることができません。そのため、土地の評価は減額されます。 また、駐車場や車庫などで使われている土地も、通常と評価方法が異なる場合があるので注意が必要です。 これ以外にも土地の評価が下がる場合があります。共通しているのが、図面だけを見ても正確な評価ができない点です。もし、現地に行かずに土地の評価をしている場合は、再度評価しなおしてみる価値はありそうです。

相続税の還付を受けるためにも、相続に強い税理士に相談しよう

相続税の還付を受けられるケースで最も多いのが、土地の評価の間違いです。土地は相続財産の中でも評価額が高く、いざ減額がされるとなると、相続税の金額に与える影響も大きくなります。土地の評価は、税理士によって大きく変わることがあります。特にあまり相続税の申告を経験していない税理士や、実際に現地に行って土地を確認していない税理士などの場合は、減額要素を見逃している可能性があります。もし、土地の評価についてきちんと評価されてないのではないかと思う場合は、申告期限から5年間であれば、相続税の還付を受けられる可能性があります。相続税の還付を受けるためにも、相続に強い税理士に相談しましょう。
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