不動産評価

相続財産の中で最も評価額が大きいのが不動産です。評価額が大きいため、不動産の評価次第で、相続税の金額が大きく変わります。そこで重要となってくるのが、不動産の減額要素をきちんと把握し、相続した不動産にあてはめることです。ここでは、不動産の評価を下げる減額要素について解説していきます。

不動産の評価では、減額要素が重要

不動産には土地と建物があります。建物の価値は、時の経過とともに減少していきます。そのため、不動産の中でも特に相続時の評価額が大きくなるのは、土地です。 相続における土地の評価は、原則、毎年国税庁が公表している路線価にその土地の面積を乗じて計算します。 例えば、路線価が10万円、土地の面積が200㎡の場合の評価額は、10万円×200㎡=2,000万円になります。 ただし、この計算はその土地の立地や状況などを無視して、しかもきれいな四角形と仮定して計算した場合の評価額です。土地には周りの環境などの状況により使い勝手が良かったり、逆に悪かったりします。そこで、路線価を使って求めた評価額からその土地に応じた加算や減額をしていきます。 特に減額要素については、場合によって大きな減額を適用でき、相続税も大幅に節税できるため、重要になります。

相続税の節税に大切な、減額要素となるものとは

相続税では、土地の評価や税金の計算を自分で行い、税務署に申告をします。減額要素の適用を忘れていたからといって、後で税務署から指摘が来ることはありません。そのため、いかに自分で減額要素の知識を持っておくかが重要になります。主な減額要素には以下のようなものがあります。

間口(入口)の狭い土地

間口(入口)の狭い土地は車が入れなかったり、建物が建てられなかったりと、土地を活用するのに不便です。そのため評価額は低くなります。

不整形地

不整形地とは四角形でない形がいびつな土地のことです。一般的には、整形地に比べて有効利用することが難しいため、評価額は低くなります。

広大地

広大地とは一般の土地に比べて、広すぎる土地のことです。土地が広すぎると、かえって有効利用しづらかったり、売却が難しかったりすることが多く、評価額は低くなります。

私道がある土地

分譲地や住宅地などでは、私道が近隣の人と共有になっている場合が多いです。私道は自分だけでなく、他の人も通る道で、勝手に他の用途に使うことができないなどの理由から、評価額は低くなります。

無道路地

無道路地とは、道路に全く接していない土地のことです。建物が建てられなかったり、その土地に行くために他人の土地を通る必要があったりするため、評価額は低くなります。

マンションやアパートが建っている土地

マンションやアパートが建っている土地は、土地の所有者が勝手に別の用途に使ったり、売却したりできず、制限がかかります。そのため、自分で使っている土地に比べて評価額は低くなります。 ここで紹介した土地以外にも、セットバックが必要な土地や周りに墓地などがある、騒音がうるさい土地なども評価額が減額される土地が多くあります。

減額要素の他にも特例の適用を考える

土地の評価額を下げるものは、減額要素だけではありません。特例を使って評価額を下げることができる可能性もあります。 土地の評価を下げることができる代表的な特例が、小規模宅地等の特例です。小規模宅地等の特例とは、自宅や事業で使っていた土地などの相続で、一定の要件に当てはまる場合にその土地の評価を50%~80%下げることができるができる特例です。 例えば、小規模宅地等の特例の適用が受けることができる自宅であれば、80%の評価減となります。路線価が10万円、土地の面積が200㎡の場合であれば、小規模宅地等の特例の適用を受ける前の評価額は2,000万円ですが、小規模宅地等の特例の適用により、2,000万円×80%=1,600万円もの大きな評価減となり、最終的な評価額は2,000万-1,600万円=400万円となります。

余計な納税を避けるために適切に不動産を評価しよう

見てきたとおり、土地にはその評価を下げることができる要素や特例が多くあります。この減額要素や特例を適用するのとしないのとでは、大きく相続税の納付額が変わります。例えば、小規模宅地等の特例で述べた例では、1,600万円もの大きな評価減になります。最低税率10%として考えた場合、評価減に対する税額は、評価減1,600万円×10%=160万円です。 実際には複雑な計算となるため異なりますが、特例を適用するのとしないのとでは、160万円も相続税の納付額が違ってきます。土地の価値や相続税率が高い場合は、もっと納付額が違ってきます。余計な納税を避けるためには、適切な不動産の評価が必要不可欠です。

不動産評価は経験豊富な税理士に依頼した方が良い

不動産の評価は、減額要素や特例をいかに知っているか、また、その土地にどの減額要素や特例を適用できるかを判断する力が重要になります。そのため、不動産の評価では知識と経験が重要です。同じ税理士でも、知識と経験のある税理士とそうでない税理士では、不動産の評価額は大きく変わり、結果として相続税の納付額も大きく変わります。相続財産に不動産がある場合は、経験豊富な相続に強い税理士に相談した方が良いでしょう。
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